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耳の構造ときこえのしくみ
私たちがふだん何気なく聞いている音はどのようにして聞こえているのでしょうか?
耳の構造ときこえのしくみを理解することで「難聴」や「補聴器」について知ることができます。
耳は3つの器官から成り立っていてそれぞれ外耳(ガイジ)中耳(チュウジ)内耳(ナイジ)
といいます。
外耳
①耳介→音を集めます。
②外耳道→音の通り道です。
③鼓膜→音で振動します。
中耳
④耳小骨→鼓膜で受けた振動を伝えます。
内耳
⑤蝸牛→蝸牛の中には有毛細胞というセンサーがあり振動を電気信号に変えます。
外耳で集音して中耳で振動を伝え内耳で振動を電気信号に変え聴神経で電気信号を脳に伝え
「音」を認識することができます。
難聴の種類
難聴には「伝音難聴」「感音難聴」「混合性難聴」の3つの種類があります。
それぞれについて説明していきますね。
伝音難聴
伝音難聴とは音を伝える外耳や中耳の障がいです。
鼓膜の損傷や中耳炎などの病気、そして耳垢つまりなどで音が伝わりにくくなることによる難聴です。
感音難聴
感音難聴とは内耳や内耳以降の神経回路の音を感じる部分の障がいです。
加齢や病気そして長い時間騒がしい環境にいることなどが原因の難聴です。
混合性難聴
伝音難聴と感音難聴の両方が原因となって生じる難聴です。
難聴の程度
軽度難聴
25dB以上40dB未満
聞き返しが時々ある。
ささやき声が聞き取りにくい。
中等度難聴
40dB 以上70dB未満
会話が聞き取れず適当にあいづちをうつことがある。
テレビのボリュームが大きいと家族から言われる。
高度難聴
70dB 以上90dB未満
会話がよく聞き取れない。
耳もとでゆっくり話してもらわないと聞き取れない。
重度難聴
90dB 以上
大声で話しかけられても聞こえないときがある。
近くの電話に気づけない。
片耳難聴
片耳難聴とは
片耳難聴とは一側性難聴とも呼ばれ、右あるいは左のどちらかの耳が聞きづらい
またはほとんど聞こえないという文字通り片耳だけの難聴です。
片耳難聴の原因・発症時期
片耳難聴の発症時期は、いろいろです。
先天性の場合や幼少期あるいは成人してから発症するケースがあります。
幼少期におたふくかぜから合併症であるムンプス難聴になって片耳が聞こえなくなったり
成人してから突発性難聴になって聞こえなくなったりというケースが私自身対応させて
いただいたお客様で多いです。
また小学校の健診ではじめて片耳が聞こえないと判明するケースもあり原因自体が
わからないという場合もあります。
片耳難聴の人が苦手な環境
①難聴の耳側からの聞き取り
難聴の耳側から話しかけられる場合、逆の聞こえる側の耳から聞くのですけど
逆の耳に届く声の大きさはかなり小さくなってしまうため気づくことが困難になります。
これは難しい表現になりますけど頭部陰影効果といって頭が音の通り道を邪魔して
声が小さくなって逆の耳に届くためです。
そして話し手が聞き手の視界に入らない場合はさらに困難になってしまいます。
②騒がしい環境
片耳難聴の人は騒がしい環境下での聞き取りは聞き取りにくくなってしまいます。
両耳が聞こえる健康な聴力の人であれば騒がしい環境下でも聞きたい言葉にフォーカスを
あてて聞き取ることができますけど片耳難聴の人は騒がしい環境下でフォーカスを当てて
聞き取りをすること自体が困難になってしまいます。
③複数人との会話
話し手が増えれば増えるほど苦手な環境となってしまいます。
右隣り・左隣り・正面・右斜め正面・左斜め正面と様々な方向からの会話での聞き取りは困難です。
1対1での会話であれば身体や顔の向きを変えることによって聞き取りやすくできますけど
話し手が多くなればなるほど身体や顔の向きを変えること自体ができなくなるため苦手な環境となります。
④音の方向がわからない
視線が伴わない方向からの音はわかりません。
特に左右と後方からの音は苦手になります。
片耳難聴の人の悩み
片耳難聴の人は周りの人から見て片耳難聴ということはわかりません。
片耳が聞こえるので周りの人からは片耳が聞こえづらいあるいは聞こえないということが
気づかれにくいのです。
しかし先ほどにも述べたように片耳難聴の人が苦手な環境というのがあり、その環境下では
聞き取りづらかったりまたは聞き逃してしまうことがあるため周りの人から誤解されてしまいがちです。
特に難聴の耳側から話しかけられて気づかないと相手から「無視」されたと誤解されてしまいます。
学校や職場で誤解され嫌な思いをされた経験がある人は多くいます。
片耳難聴の人が周りにいる人たちにしてほしい配慮
オフィス・学校・食事などの席は聞こえる耳側に人が来るようにして端に座れるようにする。
電車や車では聞こえる耳側に相手が座る。
音に対する反応の遅れや無反応は許容する。